結婚の準備
昭和三十年頃の結婚準備

衣生活の準備

この場合は、全部を新しくそろえるというのではなくて、今まで手持ちの衣類もじゅうぶん活用できるわけです。
そこで新生活に入るとき、どのくらいそろえていたらよいか、その衣服計画を銀座モレナ洋裁店細野久氏に伺ってみました。

男子服-新郎の場合

次のぺージに表にして、準備に必要な品目をあげておきましたが、ここでその補足した説明を加えておきましょう。

準備についての考え方
コート・・これは通勤の条件や、勤務先の状況によっても違うが、最近では合オーバーを中心にして考えている。厚肉と薄肉のものの差をつけて合オーバーで通すわけ。三つもつならば二つを合、一つを冬にする。また合オーバー二つ(厚肉と薄肉)とダスター兼用のレインコート」枚の計三枚でもよい。
スボーッウェアは、二人の旅行用に兼用できるものを選ぶ。

背広上下-近代的な構成・・これは勤務先が近代設備をもったビルの場合。
数が少なくても、着るものを多く組み合わせて楽しみたいという考え。洋服のじょうずな着方は一着だけをいじめないこと。ズボンは三日はいたら三日休め、上衣も一〇日着たら一〇日休めるように、二着交互に着ると、型がくずれずにすむ。この表も、それを目安にしてある。
冬は、礼服兼用に向くものがぜひ一着ほしい。平生のビジネスウェアになるが、礼服にもなる、まじめなものを。
合は、これも冬と同じで、できれば結婚のときに新調した服をあてるとよい。合服は色合い、生地、仕立てともに季節を長く着られ、るので、主力に考えてゆきたい。一着だけは旅行、スポーツ用にややスポーティーに仕立てておくと、ずっと応用範囲が広くなる。
夏は勤務先の要求度に応じて考えたいが、普通はスーツで一着もち、消耗度が高いので替ズボンを多くもちたいゆ替ズボンはもとになるスーツとよく組み合わせて考える。

背広上下ー機能的な構成・・冬と合は、近代附な概成の項と同じ。含と冬兼用ば、やや濃い色で、十月半ばから四月までを主体に考える。合と夏兼用は、五月から十月半ばまでを主体に考えて、やや薄く明るい感じの色を選ぶ。一般に、濃い色ならば、やや薄肉でも冬も着られ、明るい色のものは、厚肉のものでも冬は着にくい。
夏も、前項の夏と同じだが、思い切って涼しい、気楽に着られるものを準備する。
また、スーツ相互の組合せよりも、、上着一に替ズボンを多くそろえるという方法に。

アクセサリー類・・ワイシャッは、年間六枚が標準(うち一枚は礼服用として新品を準備)だが、体質、せんたく、便不便などを考えて必要の枚数をそろえる。これも勤務先の条件や体質によって枚数が違ってくる。1
スポーッシャツはじょうずに利用して、二人だけの生活のふんいきを楽しみたい。
夏の半袖ヤツも、ワイシャツの代用として、じゅうぶんにもちたい。
ネクタイは、礼服用、ビジネス、スポーツ用と分けて用意、ネクタイで気分を変える。六~九月は夏ネクタイを使う。
くつ下は、冬と合で三足、夏が二足。年間五足はぜひほしい。
くつは、一つのものを長くはきつづけない、で、一週間ごとに替えると、長持ちする。

家庭着・・家庭で過ごす時間の長さにより違うが、お互いの気分を変えるようにしたい。背広上下の機能的な構成と兼用させてもよぐ、またスポーツ服などをもち込むと、二人の生活を豊かにする。従来のものを広く利用。
へや着・・生活や習慣に適応したほうがよい。くつろいで、しかも節度あるものがほしい。
下着・・勤務先の状況により、毛、化繊、コットンなどを適当に選ぶ。簡便な薄着が理想。この量は、主婦が家庭にいる場合を考えてあるので、共かせぎは多少多くなる。この必要量の半分が消耗量なので、補充してゆく。


婦人服-新婦の場合

やはり、ここで補足説明をしておをます。

準備についての考え方
まず生活の規模-住まいの大きさとか、交際範囲、家族の構成などで要求されるものを考える。
また、ふつう軽視されがちな、気軽な外出着、へや着、家庭着に重点をおいて組立てを考えたい。ご人だけのふんいきをもたせることにくふうを。
表の組立てには利用の頻度を参考にしたので、もっていてもよいものでも、そのために省略したものもある。これに個人の体験を加えて調節してほしい。
コート・・合コートに重点をおいて考える。合冬兼用と、冬を主体にしたものとに、それぞれスポーティーなものとドレッシーなものを用意。この冬だけのものはなくてもよい。
コートも正式なものはいらず、実用性を主にして組み立てる。トッパーコートが日常便利なので、これを長めにして、ズボンとよく組み合わせるとよい。ブレザーコートがあれば、トッパーの代用にもなる。レインコートは、ぜひほしい。外出の多い人はレインコートと合、夏のコートを、少ない人はダスターコート兼用のレインコートがよい。
経済的な整え方・・点数を少なくして、ご、三年たってから全部家庭着にくりまわせるように組み立てることが基本になる。
娘時代は外出用だけでよいが、家庭に入ってからは、外出着の一部を家庭着にまわせるように買いそろえ、余裕があれば、妊婦服もこの中に含ませたい。
ごれは必要最小限の数量なので、適当にプラスすれば、万全になる。
余裕のある場合の整え方・・201の表を縦横の関連で、着替えを考えてゆけばよい。このように、このシーズンのこの洋服には、次のシーズンではどの洋服をあてて着替えるかということをいつも計画に考えたい。「訪問と外出用」の一部と「気軽な外出用」の大部分は、すぐに家庭着にまわせる。
アクセサリー類・・この表を参考に持ちものの色合い、デザインを表にまとめ、そのうえで手持ちの不足分を考えたい。洋服の数が少ないときは、アクセサリーで補いをつける。シンプルな服を作って、アクセサリーでスポーティ-にもドレッシーにもしてゆく。
くつは、外出の頻度によって違うが、黒と茶で、あとは持ちものから判断してむだのないように。
くつ下は防寒のくつ下、ソックスとも、色の変化とじゅうぶんな量がほしい。
帽子は、実用本位に、寒いときと暑いときかぶるものを適当に整える。
その他については、それぞれの生活状況によって違うが、これで適当に変化をつけたいもの。
手持ちのものを一応きちんど整理して考えてみたい。
家庭着・・この準備が不足しがち。新しく買うより、手持ちのものを整理して、娘時代のツ-ピースのスカートとかワンピースもスカ-トのみを生かすとか、ちょっとしたくふうが望ましい。表よりも量は豊富にしたい。合から夏へかけて汗になるので、上着の量を比較的多くする。ズボンとかショートパンツも必要になるので、好悪を越えてそろえたい。
エプロンも実用オンリーで考えず、家庭のふんいきを盛り上げるためにも必要になる。
へや着・・節度をもって、しかもふんいきを出せるものを選ぶ。明るい色である程度の変化を考え、三枚違った性格のものをそろえる。
下着・・必要量を割り出してあるので、これに個人差を考える。二人の生活では、清潔でいつも身ぎれいになるよう、ある程度余裕をもたせる。上に着るものは最小限でも、下着はじゅうぶんに準備する。
最後に・・洋服には流行があるので作りためても着られないというが、必要な服がなくては困る。あまり流行を追わず、-オーソドックスな中に新しい感覚をもつものでそろえる。
相手の好みを考え、一部は相談して作るなど、二人での楽しみを考える。
自分の将来の生活様式を考え、利用頻度の高いものに予算をかけてそろえる。